翌日、アッシュは一人でコルロの森を歩いていた。
「この森・・・俺が夢で見る森に似てるな・・・やはり俺はここに住んでいたのか?」
アッシュは自分の過去に関わる物を探して森に来ていたのだ。
「しかし・・・夢で見たあの亀みたいな岩は何処にあるんだ?」
そう思った時だった。森の奥からオカリナの音が聞こえ始めた。
「この音はオカリナ・・・ってことはジョゼットか?」
アッシュは思わず音が聞こえる方向へ走り出していた。まるで引き寄せられるように・・・
ジョゼットは亀岩の上に座ってオカリナを吹いていた。博士と一緒に暮らしていた時の事を思い浮かべながら・・・。
「ジョゼット、そろそろカレンさんのところに行こうか」
肩に止まっていたバードが言った。
「うん、分かったわ」
ジョゼットはオカリナを吹くのを止めると、町に向かおうと立ち上がった。その時、
「やっぱりか」
「え、誰?」
「俺だよ、アッシュだ」
ジョゼットの後ろからアッシュが声をかけた。
「あ、アッシュさん。どうかしたんですか?」
「いや、何でだろうな・・・自分でも分からないが気が付いたらここに向かっていた・・・変な話だろ」
「いえ、そんな・・・あの、アッシュさん」
「何だ?」
「一つ・・・聞きたい事があるんですけど・・・」
「いいぜ、何を聞きたいんだ?」
ジョゼットはおずおずと聞き出した。
「もしかしてアッシュさんは・・・ギジンなんですか?」
「な!?・・・ち、違う!俺はギジンなんかじゃない!けしてそんな!」
「隠さなくてもいいんです。私はギジンを差別したりなんかしませんから」
「・・・・ばれちゃしょうがないな・・ああそうさ、俺はギジンだよ。といっても何型なのかは分からないけどな・・・」
「分からない?どういう事ですか?」
「俺がこの島に来たのは・・・・・・」
アッシュは、自分がこの島に来た理由と目的をジョゼットに話した。
「そうだったんですか・・・記憶が」
「そうだ。唯一記憶に残っていたのがこの島のことだったんだ。それで俺はこの島にやって来た」
「早く記憶が戻ると良いですね」
「・・・だがお前、何故俺がギジンだと分かった・・・お前は一体」
「それは・・・・」
「"J"の奇跡・・・だと?」
「はい、それで私は人間になったんです。でもギジンだったときの力がまだ少し残ってるんです・・・それで」
「俺がギジンだと分かったというわけだな」
「はい」
「何話してるのー?」
ミントがいきなり現れた。
「うわ!?お前いきなり出てくるなよ!」
「だって何話してるか気になったんだもん、何話してたの」
「別に、この島の事について話してたんだよ」
「なーんだ、それじゃ行こうかアッシュ」
「行くって何処へだ?」
「忘れたの?今日は職業登録に役場に行くって行ってたでしょ?」
「あ、そうだったな」
「ジョゼットさんも一緒に行かない?」
「ううん、私はちょっと用事があるから」
「そうなの?それじゃ仕方ないか、じゃーねー」
「あ、近道はこっちですよ〜」
二人はジョゼットに教えられた近道を通って町へと向かった。
町役場は今日も静かだった。ポールは本を読みつつ暇を潰していた。ただ、読んでいる本がマンガなのがちょっと似合わなかった。
「あれ?見かけない人だな。あ、もしかして新しく島に来た人かな?」
ポールはこっちに来る二人の姿を見つけた。二人は役場へ入ってきた。
「職業登録にこられたのですか?すみませんが今はその機械が故障中でして、また後で来て下さい」
サッとマンガを隠したポールは二人に言った。
「え〜、せっかく来たのに」
「何で故障してるんだ?」
「はあ、それが私共にも分からず仕舞いで・・・」
アッシュは機械を見ると少々考え込んだ。そしてポールに
「工具を一式貸してくれ、直せるかもしれん」
「え?は、はい」
ポールは急いで工具を持ってくるとアッシュに手渡した。
「・・・メインパネルは異常ないな・・・ということはこの部分が・・・やっぱりだな。ここをこうして・・・よし直った」
アッシュは最後にスパナで機械を叩いた。
カーン!・・・・ウイィーン・・・
すると機械は元通りに動き出した。
「あ、スゴイ!直った!」
「アッシュはこう見えても手先は器用なんですよ」
「ともかく助かりました。ありがとうございます」
「礼には及ばないな。もう少し機械に詳しい奴を雇ったらどうだ?」
「ちょっとアッシュ!言い過ぎじゃない?」
「おっとすまん、とにかく登録しないとな」
アッシュは機械のモニターを見た。「居酒屋のウエイター・ウエイトレス」「機械技師」「漁師」「客の呼び込み」などが表示されている。
アッシュは適当にポンポンとボタンを押した。選んだのは「ウエイター」「機械技師」だ。
「アッシュ、何でこれを選んだの?」
「俺とお前が普通に働けそうなのはこれぐらいだろ?」
「確かにそうだね」
「仕事は明日からかかろう。今日は食事の材料を買って帰るぞ」
「はーい、それじゃまたねポールさん」
「え?どうして教えてもないのに僕の名前を?」
「胸の名札だよ、じゃあねー」
ミントは元気よく挨拶すると役場を出た。
「ミントさんかあ・・・何だか可愛いな・・・いや!いけない、僕にはジョゼットさんという大事な人がいるんだから」
ポールは意気込むと、またイスに座って隠していたマンガを読み始めた。また暇な時間になりそうだった。