ワンダープロジェクトJ3

〜第四章〜


「・・・う・・・ん」
彼は目を開けた。見た事もない天井・・・床・・・そしてベッドが見える。
「ここ・・・は・・・何処なんだ?俺は一体・・・」
「あ、目が覚めた?」
ドアを開けてミント達が部屋へと入ってきた。
「え?あ、ああ」
「やれやれ、結局隣町までオイルを買いに行くはめになっちまった」
「でもまあ直って良かったじゃんか」
「あの・・・」
うまく状況が飲み込めていなかった彼は、おずおずと三人に聞いた。
「ここは何処なんだ?俺は何故ここにいるんだ?」
「ああ、話してやるよ」
ロイは彼が何故ここにいるのかを話した。
「・・・えっ、鍾乳洞の中に!?30年も!?」
「ああ、覚えていないのかい?」
「えと・・・俺は・・・・」
彼は頭を抱えた、どうして鍾乳洞の中にいたのか思い出そうとした。しかし答えはいつまで経っても分からない。変わりに彼はある事を思い出した。
「・・・・そうだ思い出した。俺はアッシュ、ギジン4126型・・・4226型だっけな?・・・ダメだ思い出せない」
「思い出せないの?」
「もしかして記憶回路が故障してるんじゃないのか?父さん直せないか?」
「無理言うなよ、俺は機械修理ならできるがギジンは専門外だ。ましてやギジンの記憶回路なんかは得にな」
「ねえ、他に何か思い出せない?」
「・・・・コルロ・・・」
「え?」
「コルロ島にいたような気がする。俺はそこに住んでいたのかも・・・」
「コルロ島?だったら善は急げだよ。今すぐいかなきゃ・・・って無理か」
ミントは肩を落とした。この島からコルロ島に向かうのはできないこともない、だがこの家には船という物がないのだ。この島からコルロ島へ行くには個人の船で行かなければならない、この島にはコルロ島へ向かう船がないからだ。
「・・・どうしようか?」
「・・・いいさ、無理に思い出さないほうが良いのかも知れない」
アッシュは言った。
「何言ってるの!?自分の過去を取り戻したくないの?」
「取り戻したいのか戻したくないのか・・・分からないんだ」
「おいアッシュ、なんならしばらく家にいてもいいぞ。決心がつくまでな」
「いいのか?」
「ああ良いさ、困ってる時は助け合うもんだろ?」
「・・・ありがとう・・えと・・・」
「ロイだ、こっちは娘のミントと息子のショーン。女房には先立たれちまってる」
「よろしく」「よろしくな」
二人は元気よく言った。そしてアッシュはこの家での生活を始めた。ギジンであることは隠して・・・。

5年後・・・・・
アッシュもこの家での生活に慣れ、三人と本当の家族同然の生活をしていた時、ロイはアッシュに聞いた。「決心はついたのか?」・・・と。
アッシュは・・・
「俺、やっぱり自分の過去を知りたい。最近眠っていると過去の記憶みたいなのが夢に出てくるんだ。多分混乱している記憶回路が眠っている間に俺の閉ざされた記憶を見せているんだと思う。それを見ているうちに過去を知りたいと思い始めてきたんだ。俺は俺自身を見つけたい・・・」
「そうか、お前がそう言うんなら俺は止めない。そのかわり約束してくれ」
「何を?」
「記憶を取り戻したら・・・必ず報告してくれ、お前は俺達の家族なんだから」
「分かった・・・」
アッシュは自分の過去を取り戻す為、コルロ島へと向かう事となった。

ブオーーーー・・・・・・
アンコー型の船がエンジンを鳴らした。
「おっし、ヘソクリはたいて買ったかいがあったぜ、気をつけてな〜」
「ありがとう、ロイ」
「礼はいらねえよ、元気でな」
「元気でやってこいよ〜」
ロイとショーンは港でいつまでも手を振っていた。漁船が見えなくなるまで。

「しばらく寂しくなるな」
「ああ・・・ところでミントは?」
「それが用事があるって言って朝早く出て行ったんだ」
「用事って何だろうな」
・・・ミントの部屋に「私もコルロ島に行ってくる」という書き置きが残されているのを知ったのはそれから後の事だった。

「・・・コルロ島って森が多いな、地図が無けりゃ迷いそうだ」
アッシュはコルロの森を歩きながら言った。確かにこの島に住んでいる人は道が分かるだろうがアッシュ達はこの島のことをあまり知らない、しかたなく地図を見ながら進んでいるとミントは奇妙な音に気付いた。
「ねえ、変な音がしない?オカリナを吹いてるみたいな」
「そう言われれば・・・確かに聞こえるな、行ってみるか」
二人は音のする方向へと向かった。

第五章に続く・・・


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